形成外科
形成外科
一般的な形成外科で良く診療する疾患として、怪我・やけどの治療はもとより、老化・病気などで生じた整容面、機能的な不満足に対して、外科的に見た目や機能を改善(治療)する診療科です。体表面を中心に、頭から足の先まで全身を治療対象としています。
当院では、一般的な治療としては、怪我や熱傷(やけど)、皮膚の瘢痕(はんこん)やケロイドの治療、皮膚や皮下の腫瘍切除、傷の治療などがあります。
体表の見た目などでお悩みや困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。
笑顔で再び社会生活に復帰される患者様の姿を見ることが、わたしたちの最高の喜びです。
体表のことでお悩みや困りごとがありましたら、何でもお気軽にご相談ください。
日常生活で多い外傷は熱傷(やけど)です。熱湯やアイロン・暖房器具・蒸気の出る電化製品などやけどの危険性は多く潜んでいます。やけどは、皮膚に高温の液体や固体が一定時間以上接することで生じるもので、火炎や爆発などでも生じる場合もあります。また、比較的低い温度(44~60度)で生じる低温熱傷もあります。この他、薬品(酸、アルカリ溶液など)による化学熱傷や電流(家庭電源、落雷など)による電撃傷などもあります。
原因としては、やかんやポットのお湯、てんぷら油、お茶やコーヒーなど高温液体によるものや、アイロンやストーブなど熱性固体の接触が多く見られます。幼児の熱傷では炊飯器やポットの水蒸気の噴出口や、ヒーターの吹き出し口に触れてしまうケースが増えています。
やけどをしたら、流水で15~30分程度しっかり冷却することが大切です。衣服を着た状態の場合は、衣服の上から冷やしましょう。水ぶくれがある場合は出来るだけ破らないようにしましょう。放置すると水ぶくれが破れて細菌感染することもありますので早めの受診をお勧めします。
やけど・擦り傷・切り傷などの外傷、手術後やにきびなどで傷あとが残ることがあります。深い傷であるほど目立つ傷あとになりますが、浅い傷でも広範囲に及べば整容的に問題となることがあります。
傷あとにはいくつかの種類があります。痛みがある傷が通常の経過で治り、その残った傷あとを「成熟瘢痕」といいます。「肥厚性瘢痕」は深い傷のあとで、傷ができてしばらくはミミズばれのように盛り上がります。お腹など手術後の傷あとなどが肥厚性瘢痕になりやすいといわれています。この他に、皮膚の深いところにある真皮で炎症が続いて生じてしまうケロイドがあります。
治療には瘢痕を切除して縫合する外科的治療や、内服治療、皮膚の再生を促すためにステロイド外用やステロイドの含有テープなどが保存的治療として使われます。
褥瘡(床ずれ)は、在宅や施設入所中で長期間寝たきりを余儀なくされている方や、車椅子生活をされている方などに多くみられます。体の限定した部位が長時間圧迫されることにより、その部位の血流がなくなり、組織が損傷されて起こります。大きな骨と床に挟まれる部位にできやすく、仙骨部(でん部の正中部)、坐骨部(でん部の骨が突出する部位)、大転子部(大腿部の骨が突出する部位)、腸骨稜部(骨盤前部の骨が突出する部位)、踵部(足底)などが好発部位です。
急性期褥瘡(発症から1週間から3週間までの間)は、皮膚の赤みの持続、浮腫、水ぶくれ、表皮の剥がれといった症状が現れます。重症化すると浸出液が多くなり、細菌による化膿や組織が白くなったり黒くなったり(壊死)します。褥瘡の管理が難しい場合には、一時的に入院治療を行い、治癒に至らなくても管理しやすい状態までの改善を目指す治療もあります。
ほくろは良性腫瘍の一種で、表皮にメラニン色素を生成するメラノサイトが集まり、黒色斑になります。隆起したもの、平らなもの、毛が生えているものなど様々です。生まれつき皮膚の広範に色素性母斑がみとめられるものは、巨大色素性母斑と呼ばれます。
一般的ないぼは足の裏に多く、免疫力低下により粘膜がウイルスに感染して生じるといわれています。顔や首などに出現する老人性のいぼ(老人性ゆうぜい)から足の裏にできるいぼ(尋常性ゆうぜい)まで種類も様々です。治療は電気やレーザーで全体を焼き取る方法や、メスなどを使用してくり抜く方法が一般的です。
巻き爪は、爪が横方向に曲がり爪の下の皮膚をつかむように巻いている状態をいいます。陥入爪は爪の両端から爪が皮膚に食い込むことで炎症や腫れ、疼痛が生じます。傷が化膿してしまうこともあります。巻き爪と陥入爪が合併して起こることも少なくありません。
予防には正しく爪を切ることが有効です。食い込んでいる爪を斜めにカットすると、爪が伸びるときに再び食い込むため、爪の角を残してカットすることをお勧めします。また、靴の選択や足の衛生管理などフットケアも大切です。早期治療を望まれる場合や、爪矯正などの保存的治療が無効な場合には手術をお勧めします。
一般的に「脂肪のかたまり」と呼ばれる病気で、体中のどこにでもできる良性の皮下腫瘍です。皮膚の上皮成分が皮内や皮下に落ちて袋を形成し、その中に垢や脂がたまってできた固まりが粉瘤です。多くは数ミリ程度の盛り上がった状態から次第に大きくなり、数センチほどの半球状になることもあります。皮膚が破けると膿汁と臭い粥状の固まりを排出します。膿を出そうと無理に圧迫すると、袋が破れて脂肪織内に散らばり慢性化してしまうこともありますので、内容物を無理に排出することは避けて早めに受診してください。
皮下に発生する腫瘍の中では最も多くみられる良性の腫瘍です。皮下組織にみられる浅在性脂肪腫と、筋膜下、筋肉内、筋肉間にみられる深在性脂肪腫があります。20歳以下には発症することはまれで40~50歳代に多くみられます。女性や肥満に多いといわれています。背部、肩、頸部(くび)などに現れることが多く、上腕、でん部、大腿など四肢にもみられることがあります。痛みなどの症状は無く、皮膚がドーム状に盛り上がり、柔らかいしこりとして認められます。大きさは数ミリ程度の小さなものから直径が10センチ以上に及ぶものまで様々です。治療は手術による脂肪腫の摘出で、再発することはまれです。
皮膚悪性腫瘍も頻度は少ないながら、日常診療でたまに発見する疾患です。普通のシミや黒子や傷跡だと思って受診したところ、意外に検査すると悪性疾患だったりすることもありますので、気になるできものなど有りましたら、早めの受診をお勧めします。当院では、皮膚生検による病理検査や、手術で全摘出による病理検査で、しっかりお調べさせて頂きます。病理検査の結果次第では、病診連携が取れた大学病院などご紹介させて頂きます。
わきの下にはアポクリン腺とエクリン腺という2種類の汗腺(汗を出す器官)があり、わきがとは、アポクリン汗腺からの汗の成分と、皮膚表面の細菌が作用して特有の臭いを放つことをいいます。アポクリン汗腺は、ホルモンの分泌が活発になる思春期から活動をはじめるため、このころに症状を訴える方が多いようです。治療は不規則な日常生活や喫煙習慣など、生活習慣を見直すことから始まります。市販の制汗剤の使用や腋毛の処理なども一定の効果が得られることがあります。当院では、ボツリヌス毒素注射や、皮膚科でエクロックゲルⓇ外用などによる治療を行っております。それでもしつこい臭いや多汗の場合に、切開法(皮弁法)による治療を行う場合があります。