皮膚科
皮膚科
日常の皮膚科診療では、「皮膚」を診察することによって、幅広い領域の診療科と関わっております。皮膚科の診察は、一般的に「視診」が最も重視されます。視診という診断法は、臨床の現場では極めて単純な方法に見えるかもしれませんが、昔と比べて、皮膚科における知的情報は格段に豊富になっており、1つの発疹を診るときに根底にある知識の量は、当時の1000倍になっているといっても過言ではありません。例えば、「皮膚は内臓を映す鏡」と言われており、皮膚には皮膚疾患だけでなく、内臓疾患などの部分的な症状も皮膚症状として現れます。そこから、皮膚科は皮膚症状を通して内臓や血行、ホルモンバランスなど体内状態もみる診療科といえます。また、皮膚科はアレルギー性疾患とも関りが強い診療科でもあります。最近では、「脳と腸」との繋がりがトピックになっておりますが、「皮膚と腸」との繋がりも当科では話題になっております。
皮膚には実に多くの症状があります。原因も様々で外的因子、内的因子、加齢など極めて多様です。
当院では患者様の立場にたった医療の実践や質の高い診断を第一とした最善の治療をめざしております。出来るだけ原因追及に努め、皮膚疾患の検査によって、思わぬ内科的疾患が見つかる場合もありますので、皮膚の異常がみられましたら、お早めにご相談ください。
小児からご年配の方まで皮膚疾患を幅広く診療しています。
皮膚科専門医が診察しております。
皮膚の異常や気になる症状がある際は、何でもお気軽にご相談ください。
当院では、ナローバンドUVB治療も行っております。
適応疾患:尋常性乾癬、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症など
皮膚科の診療でとても多く見られる症状です。かゆみや赤み、かさつきなどが生じます。ひどい場合は、水ぶくれなどができ、皮がむけることもあります。
原因としては、洗剤や石鹸、汗や髪の毛など様々な外的な刺激によるものが多いですが、自己免疫やアレルギー、ダニ、ハウスダスト、薬疹、ウイルスなどもあります。湿疹・かぶれなどはかゆみを伴うことが多く、つい掻いてしまいがちです。しかし、掻くことで患部をかき壊してしまい化膿や悪化を招き、さらに患部が広がりかゆみがひどくなることも少なくありません。また、単なる湿疹だと思っていたが、実は、アトピー性皮膚炎の初期の症状など、重要な兆候の可能性もあります。治療はステロイド外用薬や保湿剤を使用します。かゆみがひどい場合は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬でかゆみを軽減します。湿疹が外的要因で生じる場合、その原因物質に触れないようにすることも大切です。根本的な原因として、アトピー性皮膚炎などが隠れていることがあるため、アレルギー採血や皮膚テストなどで原因検索を行う場合もあります。
じんましんは皮膚の一部が突然くっきりと赤く盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡形もなくかゆみと皮疹が消えるという特徴があります。たいていかゆみを伴いますが、チクチクとした感じや焼けるような感じになることもあります。発症して6週間以内を「急性じんましん」、それ以上経過した場合を「慢性じんましん」と呼びます。じんましんの治療は、まず原因や悪化因子を探して、それらを取り除く、または避けるようにすることです。アレルギーが原因であれば、原因アレルゲンや刺激を回避します。仕事や勉強などのストレスや不規則な生活を避けることも重要です。薬物治療は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの飲み薬や塗り薬が中心となります。根本的な原因として、アトピー性皮膚炎などが隠れていることがあるため、アレルギー採血などで原因検索を行う場合もあります。
にきびは多くの人が経験するとても身近な皮膚疾患です。とくに思春期にできることが多く、気にする方も少なくありません。にきびの直接的な原因は、皮脂の過剰な分泌と毛穴の詰まりです。過剰に分泌された皮脂が毛穴にたまり、面皰(めんぽう)という状態になります。この毛穴にたまった皮脂を栄養源にして、にきびの元となる菌が増殖して症状を悪化させます。
大人のにきびは、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足、紫外線、ストレスや生活環境など、様々な要因が複雑に絡み合ってできることが多く、治りにくい特徴があります。治療は、にきびの種類と重症度を判断し、外用薬(抗生物質、イオウ製剤など)、内服薬(抗生物質、ビタミン剤、漢方薬など)を使用します。根本的な原因として、アトピー性皮膚炎などが隠れていることがあるため、アレルギー採血などで原因検索を行う場合もあります。
適切な治療を行わず放置してしまうと、毛包の組織が破壊され「にきび跡」になる場合があるので注意が必要です。以前は軽いうちはスキンケアで対応し、症状がひどくなったら医療機関にかかるケースが一般的でしたが、近年は治療法が進み、早期の症状から医療機関で治療できるようになっています。にきび症状でお悩みの際は、放置せずにご相談ください。
原因としては、皮膚のバリア機能の低下、アトピー素因(アレルギー体質)、心理的要因の3つが重なって起きると考えられています。目や耳の周り、首、ひじやひざのくぼみなどに、かゆみを伴う湿疹が繰り返し起こります。左右対称で、慢性の湿疹と皮膚の乾燥が生じるのが特徴であり、かき壊しが続くと湿疹が拡大し、状態がひどくなります。花粉症や食物アレルギーとは異なり、アレルゲンがあるから発症するわけではありません。皮膚の弱い体質、皮膚のバリア機構が不十分な人に発症することが多い病気で、ダニや食物アレルギーを伴いやすい特徴があります。
治療は、バリアの機能を補うためのスキンケア、皮膚の炎症を抑えるためのステロイド外用薬やタクロリムス外用薬、かゆみを軽減させる抗ヒスタミン薬内服、かゆみを悪化させないための環境整備や対策が基本となります。とくに乾燥する秋から冬は、たっぷり保湿をするようにしましょう。また、ストレスや疲労をきっかけに悪化することが知られていますので、これらをため込まないように注意しましょう。
単純ヘルペスウイルスに感染することで発症します。口の周りや口内に小さな水ぶくれや傷ができる1型と、外陰部や臀部など下半身に発症する2型の2種類のウイルスがあります。初めて感染したときは、人によってひどい症状が出現することがあります。口内に小さな深い傷ができ痛みで水分がとれなかったり、高熱や歯ぐきが赤く腫れて出血したりすることもあります。治療は抗ウイルス薬を使用します。疱疹が出る前にチクチクするといった予兆があることが多く、その時点で薬物療法を始めると治りが早まります。単純ヘルペスウイルスは神経節に入って潜伏するため、薬で完全に取り除くことができません。そのため寝不足、疲労、かぜなどで免疫力が低下すると再発することがあります。
水痘(みずぼうそう)と同じウイルスによって発症する病気です。頭部から下肢までの間で体の左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い斑点と水ぶくれが多数集まり帯状に出現します。上半身に現れることが多く、顔面、目の周囲にみられることもあります。ピリピリと刺すような痛みが生じ、夜も眠れないほど激しい場合もあります。顔に生じた場合、目の障害や顔面神経麻痺、内耳障害によるめまい・耳鳴りなどが起こることがまれにあります。多くは、皮膚症状が治ると痛みも消失しますが、神経の損傷によってその後も痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」という合併症が残ることがあります。
帯状疱疹は早く皮膚科を受診し、早期に治療することが非常に大切です。早期治療により、帯状疱疹後疼痛の発症を低減することが期待できます。
銀白色の鱗屑(りんせつ:皮膚の粉)を伴い、境界の明瞭な盛り上がった紅斑(赤い斑点)が全身に出現する病気です。乾癬(かんせん)の多くが、この症状であり、尋常性乾癬と呼ばれています。
大きさや数、形は様々で、発疹が癒合し大きな病変となることもあります。爪の変形や関節炎を伴うこともあります。刺激を受けやすい部位にできやすく、頭部、ひじ、ひざ、臀部、下腿などに多く認められます。かゆみは半数程度の方にみられます。
乾癬は慢性で軽快と悪化を繰り返します。病気の程度、状況などに応じて治療法を選択します。アトピー性皮膚炎などと皮疹が似る場合がありますので、原因検索目的にアレルギー採血、一般採血を行う場合があります。
水疱や膿胞は感染症や物理化学的障害などにより出現します。これら以外の原因で水疱や膿胞を生じる疾患について、水疱症と言われます。
水疱症の原因は、表皮細胞同士の接着や基底膜部の接着異常によるものです。つまり、皮膚が微弱なために水疱を形成してしまうのです。水疱症は、おおまかに「自己免疫性水疱症」と「先天性水疱症」に分かれます。診断を下すにも、病理組織学的検査や、DNA解析を用いた遺伝子変異の確認など、さまざまな方法があります。
水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が足の皮膚に入り込んで発症する病気です。白癬菌が増殖しやすい夏に症状の悪化がみられます。足白癬は趾間(しかん:指の間)型、小水疱(しょうすいほう:水ぶくれ)型、角質増殖型のタイプに分類されます。趾間型は、足指の間の皮膚がふやけたように白く濁り、じくじく、かさかさ、赤み、水ぶくれなどが生じます。小水疱型は、土踏まずや足指に水ぶくれや細かい皮むけが生じます。角質増殖型は、踵(かかと)を中心に足裏の皮膚が厚くなり、ひび割れたり、粉をふいたりした状態になります。冬に乾燥やひび割れを起こしやすくなります。これらのタイプが混在することもありますし、かゆみがないこともあります。治療は病態に応じて塗り薬や内服薬を使用します。
いぼは皮膚から盛り上がっている小さなできもので、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発症します。ウイルス性疣贅(ゆうぜい)と呼ばれています。いぼのウイルスは傷などから皮膚に入り、皮膚の深層の細胞に感染して、周囲の正常細胞を押しのけて増殖し続けます。痛みやかゆみは伴いませんが、放置するとさらに増えたり、人にうつしたりすることがあります。小児からご年配の方まで男女を問わずみられます。小児のいぼで、気にされて来院される方が多いのが現状です。
いぼができ、掻いて治そうとするとかえってウイルスを拡散してしまう可能性があります。いぼを見つけたときは、数が少ないうちにご相談ください。いぼの治療は、炭酸ガスレーザー治療や液体窒素による冷凍凝固療法などがありますが、塗り薬、貼り薬、漢方を併用するなどご本人に適しているものを選んで行います。
足の皮膚の一部分に慢性的な圧迫などの刺激が加わり発症します。たこは皮膚の表面の角質が部分的に厚くなるもので多くは、痛みはありませんが、痛みや赤みを伴う場合は、細菌感染を起こしている可能性がありますので、早めに皮膚科を受診してください。うおのめは厚くなった部分にさらに刺激を受けて硬く、芯を持つようになってきます。歩く度に刺激され痛みが生じます。治療はメスなどで削る角質除去法があります。
また、足の裏によくできるのが足底疣贅(そくていゆうぜい)といういぼの一種です。うおのめと似ていますが、これはイボウイルス性の腫瘍で知らずに削ってしまうと、かえって患部を広げてしまうことがありますので注意が必要です。この場合は、液体窒素療法が適用となる場合があります。鑑別をきちんとつけるためにも、皮膚科の受診をお勧めします。
寒冷の環境下に長時間暴露されると、細胞は脱水と細胞膜破壊が生じます。さらに、血管収縮による血流低下や血小板凝集機能異常による血栓形成も起こります。高齢者に生じやすいですが、血管形成が未熟な小児でも臨床では、度々、診ることがある疾患です。早期治療が病態進行を抑えてくれるので、早めの受診をお勧めします。
皮膚科の日常診療で、しばしば出くわすのが、身体に出来たできもの、シミ、黒子などです。保険診療の概念では、良性疾患か悪性疾患かを的確に診断することが重要となってきます。視診、ダーマスコピーなどによる視覚的検査、皮膚生検による病理検査を行い、診断していくことになります。良性疾患であれば、経過観察や、患部を摘出して終了となることも多いです。早期治療で簡潔に治療が終わることも多いですので、少しでも気になるできものなどは、遠慮なくご相談頂けますと幸いです。
皮膚悪性腫瘍も頻度は少ないながら、日常診療でたまに発見する疾患です。普通のシミや黒子や傷跡だと思って受診したところ、意外に検査すると悪性疾患だったりすることもありますので、気になるできものなど有りましたら、早めの受診をお勧めします。当院では、皮膚生検による病理検査や、手術で全摘出による病理検査で、しっかりお調べさせて頂きます。病理検査の結果次第では、病診連携が取れた大学病院などご紹介させて頂きます。
はい、可能です。皮膚科は視診が重要ですので、湿疹の形態にもよりますが、アレルギー採血などで、湿疹の原因を精査することをします。とても大事な検査です。また、指や足などは、白癬菌がいないかを顕微鏡を使って調べることもします。
はい、可能です。良性か悪性かを調べるだけでしたら、皮膚生検を行って病理検査をします。3~5mm大程度の大きさで部分的に患部を摘出して精査します。見た目も気になるようでしたら、全摘出する場合もあります。ダーモスコピー検査(拡大鏡検査)もしますが、確定診断はやはり、病理検査となります。
はい、可能です。皮膚科では一般的に、白斑と円形脱毛症の治療は少し時間がかかる場合がありますが、根気強く通院して頂ければ、治ってくる場合も多いです。外用、内服、液体窒素療法、光治療など、多方面から治療を組み合わせると、効果的な場合が多いです。
一度、診察しないと、はっきりとは分かりませんが、尋常性疣贅(ウイルス性のイボ)の場合が多いです。液体窒素療法で焼いて、2週間間隔程度の通院を繰り返して頂きます。イボを放っておくと、仲間を増やして増えてくるし、他人にもうつりますので治療は必要です。場合によって、ヨクイニンなどの内服をする場合もあります。子供さんに出来る場合が多いです。
はい、可能です。先ずは、採血を行い(場合により皮膚生検を行い)、水疱症でも天疱瘡なのか類天疱瘡なのか診断をつけることが重要です。最近は、効果的な内服、外用も登場しており、乾癬に対しては当科では場合により光治療も組み合わせたりします。早期発見、早期治療が大事ですので、気になる症状が有れば、遠慮なく受診してください。